一生忘れられない体験でした。
今年の1月、僕の大好きなバンド"Dawes"のライブを観にアメリカに行きました。
Dawesはロサンゼルス在住のフォーク・ロック・バンドで、アメリカ三大フェスに出演したりボブ・ディランとツアーを回ったりとライブでの評価も高く、アルバムはビルボードのフォーク・チャートで一位を獲得するなどセールスでも実績を残しているアメリカの人気バンドです。
そんなDawesと僕の関係について書いた記事がこちらです。
今回の記事はこの4年前の伏線を壮大に回収したぜ!という話です。
たくさんの奇跡が起きたので書いていこうと思います。
いまだに信じられませんが、すべて本当のことです。
【前置き】Dawesのライブを観にアメリカに行くことにした
仕事で大型の連休がもらえることになったので、人生初の海外旅行に行くことにしました。
海外旅行に行くなら好きなバンドがたくさんいるロサンゼルスかなとは思っていたものの、金銭的な面も考慮すると他にも候補(香港、ロンドンなど)があったので、旅の最大の目的を決めて、それを実行できる場所に行くことにしました。
その旅の最大の目的はやはり、好きなバンドのライブを観に行くこと。
そこでDawesのライブ情報を調べたところ、ちょうど僕の旅行期間中にロサンゼルスから100マイルほど離れたサンタ・バーバラでライブを予定していることがわかり、ロサンゼルス〜サンタ・バーバラに行くことに決めました*1。
【奇跡その1】マネージャー陣がやさしい
Dawesのライブを観に行くことに決め、もしかしたらライブを観る以上のことが起こり得るんじゃないか?という下心でDawesのマネージャーのMさんにメールを送ることにしました。
上にもリンクしましたが、
この記事でマネージャーMさんとメールのやりとりをした過去があったので、受信フォルダを掘り起こしてMさんにこのような旨のメールを送りました。
「以前はギターを贈ってくれてありがとうございました!
あの時にも話しましたが、今度本当にDawesのライブを観にアメリカに行くことにしました。
彼らに直接感謝の気持ちを伝えたいので、会わせてもらうことはできませんか?」
すると、すぐに返信がきました。
「自動返信:
休日のためオフィスは閉まっています。1月3日に開く予定です。
その間返信が遅れます。緊急の方は…」
僕がメールを送ったのは12月28日。
年末年始のお休み期間中でした…!
最悪の場合、この4年間の間にマネージャーの方が会社を辞めていてDawesと連絡を取る手段がなくなるということも起こり得たわけですが、この返信が来たということはマネージャーの方が辞めていない確率は高いだろう*2とポジティブに捉え、年が明けるのを待つことにしました。
その間にパスポートの取得、航空券の手配、ライブチケットの入手などなど準備を進めていたんですが、年が明けて1月3日を過ぎても返信はありませんでした。
幸いDawesのライブチケットはかなり良い席を確保(指定席)。
最悪メールが返って来なくても、普通にライブは観れるので、それだけでも最高です。
まだ可能性は残っているとは思いつつも、ほぼ諦めかけていた日本出発2日前の1月11日、知らない外国人の方から英語のメールが来ました。
「Hi Yui,
あなたのメールをMから引き継ぎました。DawesのマネージャーのAです。
Dawesメンバーに伝えたところライブで会えることを喜んでいましたよ。
アメリカで使える携帯は持ってますか?持っていたらツアーマネージャーのGerry*3の連絡先を教えるので連絡してくださいね。
持っていない場合は教えてください。その場合は待ち合わせ場所をこちらで決めます。
会場のLobero Theatreはとっても良い場所ですよ!Enjoy the Lobero!」
なんとDawesに会えることになりました!
そしてこの優しいメール!会うための手筈を整える上でこちらの環境にもめちゃめちゃ気を遣ってくれてるし、こんなメールをもらえるとLoberoでのEnjoyを想像してワクワクしてきます!
その後2,3通メールをやり取りして、結果的には当日の13時に会場に直接行って会うことになりました。
【奇跡その2】ツアースタッフも超やさしいし粋
アメリカ滞在二日目がDawesのライブの日でした。
アムトラックという客車が2階建ての巨大な鉄道に乗ってロサンゼルスから2時間弱でサンタ・バーバラへ。
待ち合わせの13時、メールでは「会場付近に大きなバスが停まってるからノックしてね。そしたらGerryと会えるよ」とのことだったけど、スタッフみんなでめちゃめちゃ機材搬入中。超忙しそう。
タイミング悪くて申し訳ないなと思いつつも、大きな身体のスタッフの方に「Excuse me…」と話しかけてモゴモゴしてると「Hi! …O.K. I know you!」と言ってくれて一安心。
後にわかるのですが、実はこのスタッフの人がバンドにとって最古のツアースタッフらしく、結構権限も持ってるっぽくてすごく良くしてくれました。名前はJack。
「Gerryは今はいないけどもうちょっとしたら来るよ。水飲む?」と言って巨大バスの中から瓶の水持ってきてくれたり、待ってる間に「あそこにいるのベースのWylieとキーボードのLeeですよね?」と話しかけたら「話す?行こう!」と言って仲介してくれたり、めちゃ気を遣ってくれました*4。
そうこうしているとGerryが登場。
Gerry曰くどうやらギターボーカルのTaylorとドラムのGriffinがまだしばらく会場に来ないということで「また後で来てくれよ。リハーサル観たい?だよな!そしたら午後5時にまたここに来てくれ。午後5時だぞ!午後5時な!わかるよな?5時だぞ!午後5時にまたここで会おうな!*5」と超粋な展開に。
リハーサルを見学させてもらう約束をして、Dawesの二人とスタッフの皆さんとお別れ。
全米一美しい街の一つと言われているサンタ・バーバラの街をブラついて午後5時まで時間を潰しました。
【奇跡その3】リハーサルを全編貸し切り状態で見学
街を散策してホテルへのチェックインも終え、約束の17時より15分くらい早くライブ会場に戻りキーボードのLeeやスタッフさんたちと再会。
リハーサルはまだしばらく始まらないようなので、Jackが「一足先に中を見るかい?」とステージに連れて行ってくれ、準備しているスタッフ一人ひとりに僕のことを紹介してくれました。
ステージ上にはサポートメンバー含めた6人分の大量の機材がセッティング済み。
「写真撮っていい?」と聞くと「もちろん!」ということでバシャバシャ撮っちゃいました。
(Wylieのベース)
(Taylorのアコースティックギター)
(パーカッションやコーラスなどで大活躍のサポートの方の視点)
(高そうなエレキギターとギターアンプ)
(Griffinのドラムセット)
(Leeのキーボード)
(ステージ中央から客席を観た図)
(ギターボーカル視点)
(DawesのキーボーディストLeeと極上の機材たち)
(スタッフJackがアコギをチェック中)
ステージ上で写真を撮っているとGerryが遅れて登場。
「こっちついてきな!」と真顔でバックルームに連れていかれたので、写真を撮ってたの怒ってるのかな?とビクついてたら、スタッフ用のリストバンドをつけてくれました
顔は怖いけど優しいGerry。
その後リハーサルはこの席に座って観てろよな!と席に案内してくれたり、晩御飯は食べたのか?とケータリングを持ってきてくれたり、超優しい。
ちなみにJackもやっぱり超優しくて、トイレに行こうと通路に出た時にツアーグッズ整理中のJackが「どれか一個好きなのあげるよ。どれがいい?」と言ってくれて、キャップをもらっちゃいました(トップの写真でもかぶってます)。
17時を過ぎるとリハーサルがスタート。
年間100本以上ライブをこなすライブバンドならではなのか、リハーサルでギター2本のソロの絡みを新しく作ったり*6、曲と曲の繋ぎをその場で作ったりしていました。
実際彼らのライブは、CDでは聴けないライブならではのバンドアレンジや歌詞の変化、長尺の(全然ダレない、むしろ超盛り上がる)アウトロを盛り込んだりもしています。
プロ中のプロのリハーサルを貸切状態の会場(築140年のオペラハウス)で聴くという超贅沢な1時間はあっという間に過ぎていきました。
超最高。でもまだ聴きたい!と思いましたが、むしろ本編はこのあとでした。
【奇跡その4】ライブ後の打ち上げに参加してDawesメンバーと乾杯
20時にライブ本編がスタート。
ライブは信じられないくらい最高だったんですが、それについては長くなりそうなので別記事で書こうと思います。
書いたらこの記事からもリンクします。
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2017/07/07 追記
ちょっと泣いちゃうくらい感動したDawesのライブがどのように最高だったかの記事も書きました!
この感覚を味わいたくて500本以上ライブ観てきたんだよなあという感じでした。
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ライブは大盛り上がりのうちに終了。
ライブは最高だったし、物販でTシャツも買って大満足なのだけど、何か心残りが…。
ギターボーカルのTaylorとドラムのGriffinにまだ会ってない!
リハも観させてもらったし、ライブも間近で観たけど、Goldsmith兄弟(TaylorとGriffinは兄弟です)に直接会って話してない!
ライブは終了し会場からお客さんも帰っていく。
スタッフ用のリストバンドをもらっているとはいえ、ズカズカとバックステージに入っていくのもなんだか気が引ける。
こんな事態を想定していたわけではないけど、僕にはとっておきの手段がありました。
日本からお土産を持ってきていたのです!
物販の片付けをし始めたJackに「あのー…お土産を持ってきてるんだけど…」というと「Gift? Nice! 渡しに行こう!」とメンバーの元へ連れていってくれて、そこでようやくTaylorとGriffinにも直接会うことができました!
日本から持ってきた、小さい樽に入った日本酒と、僕のバンドのCDを渡し、ツアーバンの中の居間のようなスペースで乾杯しました。
その時にGerryが撮ってくれた集合写真がこれです。
(最初は表情が硬かったけど、Gerryの「Smile!」でみんな笑顔。)
ツアーバンの中ではDawesメンバーとその友達5,6人、スタッフ数人での軽い打ち上げ。
ドラムのGriffinは大の日本好きで、日本のことを結構知っていました。
一番好きな食べ物は寿司らしく、 彼らの住むロサンゼルスにも美味しいお寿司屋さんがあるとか。
「明日以降はどうしてるの?」と聞かれ「明日はサンタ・バーバラで過ごして、明後日ロサンゼルスに戻るよ。それから帰る日までロサンゼルスで過ごすよ」と答えると「じゃあ何日か後に一緒に寿司食べに行かない?」とのお誘いが!
エルビス・コステロとバンドを組んだり(ボブ・ディラントリビュートバンド)、マムフォード・アンド・サンズと一緒に演奏したりしているような超売れっ子でもあり、個人的にも超大好きなバンドのドラマーに、一緒に寿司を食べに行かない?と誘われるという謎の展開になりました。なにこれ?夢?
そしてその場で電話番号を交換して、後日一緒にお寿司を食べに行きました。
会食のメンバーはドラマーGriffinとギターボーカルTaylor、そしてTaylorの彼女のハリウッド女優(ググればわかります)と僕の4人。
従業員が全員日本人の超ガチの回らない寿司屋さんでビビりましたが、僕の分はお三方が払ってくれました(超ありがたい)。
【奇跡その5】次はDawesと日本で対バン
ミニ打ち上げは2,30分で解散に。
Griffinとは「日本でもライブしてよ!」「もちろん!その時は一緒にやろうよ!」という会話もして、日本でDawesと一緒にライブをするという、また数年後に叶えるべき約束もできました。
4年前にマネージャーとのメールで「いつかDawesのライブを観にアメリカに行きます」という約束を本当に叶えることができたので、この約束もいつか必ず叶えたいと思います!
打ち上げの帰り道、方向が同じだったDawesの友達ご夫妻に車でホテルまで送ってもらったりもして、とにかく皆さんにやさしくされまくって助けてもらいまくって最高の体験ができました。
彼らが日本に来たときにはその分お返ししないとなと思っています。
絶対また会いたいです!
*1:今回のDawesの他にも、日本でもたまにライブをしに来てくれそうなNorah JonesやWilco、Bon Iver、Ryheなどのバンドや、日本にはあまり来てくれなさそうなSaint MotelやIslands、Stephen Malkmus & The Jicksなど20組ほど調べたけど、ロサンゼルス近郊でその時期にライブをするバンドは他にいませんでした。めちゃめちゃ売れてる人ってあんまりバンバンライブやらないし、やってるバンドもアメリカって超広いから飛行機乗らないと行けない距離だったりして無理でした。
*2:辞めててアドレスだけ生きてるという可能性もあるけど…
*3:この人はバンドオフィシャルのInstagramとかで公表されてるので実名言っちゃいますね。
*4:何気にここでDawesメンバーと初対面。「俺らの曲カバーしてくれてありがとね」みたいな会話をしました。
*5:書いてなかったけど、僕は全然英語が喋れません。もちろんリスニングもヤバイ。なのでこれまでの会話もかなり聞き返したりしまくっていて、それ故「17時にここにまた来る」ということをこいつはちゃんと理解してるのか?というGerryの不安を感じました。この時もこれ以降も、Gerryは基本的に笑顔が少なくて表情怖めなんですけど、僕がリハーサルを逃さないように念を押してくれてて、めちゃくちゃ優しい人でした。表情怖いけど、やってくれてる内容がめちゃくちゃ優しいのはこの後何度もありました。
*6:結構難しいフレーズなのでリハーサルで苦戦していて、結局この日のライブではこのギターソロは披露してませんでした。でも後日別の日のライブ動画をYouTubeで観たらバリバリやってました…!難しいフレーズを当たり前の顔して…!プロ…!