裸眼日記

札幌在住のミュージシャン青柳唯(あおやなぎゆい)が音楽・映画・お笑いなどについて書くブログ(両目1.5)

500本以上ライブを観てきた僕が初めて感じた衝撃のライブのこと

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日本で500本以上音楽ライブを観てきた僕が、今まで観た中でも、ある種最も衝撃を受けたライブが今年1月に観たDawesのライブです。

5年前にこのバンドのことを知ってファンになり、それ以降アルバムを買って聴いたりYouTubeでライブ映像を観たりしていましたが、今年人生初の海外旅行に行き、彼らの本拠地アメリカでDawesのライブを観てきました

余談として、僕はDawes主催のカバーコンテストで優勝したことがあり(はい、自慢です)、

www.yuiaochang.com

そのおかげで、ライブを観に行った際に色々とスペシャルな体験をさせてもらったんですが(はい、奇跡です)、 

www.yuiaochang.com

ライブが素晴らしかったことと上記のことに因果関係はありません*1

日本で何百本もライブを観ても感じなかった感覚、何百本もライブを観たからこそ求めていた感覚がそこにはありました。

Dawesのツアーのうちの一公演

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上記リンク記事を読んで下さった方には重複しますが、今回お話するDawesというバンドは、ロサンゼルス在住のフォーク・ロック・バンドで、年間100本以上のライブをこなしつつアメリカ三大フェスに出演したりボブ・ディランとツアーを回ったりとライブでの評価も高く、アルバムはビルボードのフォーク・チャートで一位を獲得するなどセールスでも実績を残しているアメリカの人気バンドです。

今回僕が行ったライブはロサンゼルスから西に100マイルほど離れたサンタ・バーバラにあるLobero Theatreという築140年の立派なオペラハウスで行われた"An Evening with Dawes"と題されたDawesのライブ*2
ちなみにツアー名も"An Evening with Dawes"で、この公演はツアーの一環ということです。

バンドが去年9月に発売したアルバム『We're All Gonna Die』発売以降のツアーなので、おそらくレコ発的なツアーだと思われます。

昨年から長いスパンで行われているこのツアー。
今年に入ってから平均3日に1回以上のペースで頻繁にライブが行われていて*3、ライブ日程はいまだにどんどん増え続けています。

このライブの本数が彼らの円熟したライブのクオリティを担保していると思われますが、それにしたって数が異常。

このスケジュールをこなしながらも、テレビやウェブのメディアにも出ているし、ライブでのバンドアレンジが日々変わっていっているのもまたすごい。

休憩ありの2部構成のワンマンライブ

ライブは全席指定のワンマンライブ。

90分ほど演奏したあとに途中休憩を挟み、後編とアンコールすべて合わせて3時間弱とボリュームたっぷり。

指定席だから休憩時間にトイレに行ってもまた自分の場所に戻れるというとても良いシステム。
長丁場やるには最適のシステムだと思いました。

年齢層は幅広く20〜60代くらいまで。 30代が最も多く、次いで40代20代といった印象です。

圧倒的な演奏力と、それに呼応するお客さん

(僕が実際に会場で撮影した動画です。)

Dawesの曲が素晴らしいのはもちろん知っていました。
アルバムを繰り返し何度も聴いていたので、知っています。

ライブでの演奏が素晴らしいのはある程度想像がつきました。
YouTubeや海外フェスのウェブキャストで彼らのライブ映像をたくさん観ていましたし、そもそもライブというものもたくさん観てきたので、映像からある程度は想像がつくものです。

ただ唯一、圧倒的に想像を上回っていたものがありました。

それがお客さんのライブの楽しみ方でした。

他人に迷惑をかける行為は基本的にNGだけど、自分が最大限楽しむという姿勢。

踊りたくなっちゃったら踊るし、歌いたくなったら歌う。でも人の耳元で大声歌ったら迷惑だから、そこら辺のマナーは守る*4

Dawesの正確な演奏と各楽器の極上の音作り
そして音が合わさったときのバランスの良さ、そこに生まれる快楽。
ライブの即興性や、CDにはないライブならではのアレンジ

そういったライブバンドとしての素晴らしさは超一級品で最高に気持ちいい演奏でしたが、もしそれにお客さんが応えなかったら、ライブは死んでしまう。

拍手もまばらで全員微動だにせずライブを観るようじゃ、演奏しているミュージシャンも「俺らの音楽良くないのかな?」と思ってしまうし、自然とテンションが上がらなくて、演奏も良くなくなってしまう。

日本のライブではそういった光景を何度も観てきましたが*5、今回はその真逆でした。

バンドの素晴らしい演奏にお客さんが呼応していました。

めちゃくちゃいい演奏をすればお客さんは盛り上がるし、そこまででもなかったら、そこまででもないという反応。
良くも悪くもとても正直な態度を見せているように感じました。

僕が日本にいてライブを観ていて感じるのはその違和感で、本当は良いと思っている人も表現の仕方がわからなかったりシャイだったりで、正直に反応できていないんだろうなと感じることがあります。

チケットが即完売するような海外の大きなフェスでは毎年ウェブでライブの様子を中継してくれていて*6、そこに映るお客さんたちはまさに自由で正直に楽しんでいる。
日本のライブではこういうお客さんって少ないよなあといつも感じていました。

最新アルバムの1曲目に収録されている曲からライブは幕を開け、その曲の演奏が終わった瞬間「フーーーーー!」という歓声と大きな拍手で会場は大熱狂に包まれました

1曲目にこの曲を披露されたらテンション上がっちゃってしょうがないよな!というタイミングで、みんなテンション上がりまくり。

とにかくがむしゃらにただただテンションが上ってるというよりかは、この曲が一曲目に演奏されたことによる盛り上がり方のように僕には感じて、選曲やタイミングの意味を理解して、そこにグッときた!という盛り上がり方をお客さんがしているように思えました。

この感覚が僕の求めていたものでした。

スタンディングオベーションをするもしないも自由

自然発生するスタンディングオベーションを経験したのも、今まであまりないことでした。

全席指定で座ってライブを観ているのですが、「これはキラーチューンだ!」「これは素晴らしい演奏だった!」という曲の演奏が終わったタイミングには自然とスタンディングオベーションが発生していました。

曲によって拍手の量に違いがあり、それを振り切れたときには自然と立ち上がる人が発生する。 その立ち上がる人の数も、曲によって少なかったり多かったりする。

人間なので他人に全く影響されないということはもちろんないのだけど、”右へ倣え”というよりは”自分はこれは良いと思った(思わなかった)”という自分の意見をそれぞれが持って、それを表明している感じがとても気持ちいいと感じました。

盛り上がったら踊っちゃう

(オールスタンディング状態で社交ダンス的な自由なダンスをするカップルがいました。)

最初の基準値からとても高いのですが、曲を重ねるごとに会場のテンションは上がっていきます。

前編の最後の方にはスタンディングオベーションがかなり起きやすくなっていて、休憩を挟んだ後編でもその空気が継続。

踊りたくてしょうがなくなった若者たちは席を立ち上がり、右端の通路(この場所だと座っている誰の視界も遮らない)でミニスタンディングゾーン(ダンスゾーン)が自然発生

僕もスタンディングゾーンに行きたい気持ちはあったけど、自分の席もかなり良い席だったので、しばらくは自分の席で観ていました。

スタンディングオベーションは基本的に曲終わりの拍手と同時に起こり、次の曲が始まるとポツポツと座り始めるというパターンだったのですが、後編も中盤に差し掛かったあたりでめちゃくちゃ盛り上がる曲を2曲連続で演奏した際には、曲終わりのスタンディングオベーションのまま座るタイミングなく盛り上がる曲が続いたので終始立ちっぱなし。

このあたりでミニスタンディングゾーンがところどころに発生し、僕も我慢できずにそこに参加しました。

2曲続けてのキラーチューンに会場は大盛り上がり。
ここでそうでもない曲をやるとまたお客さんが座ってしまうと判断したギターボーカルTaylorはメンバーに耳打ち。
おそらく会場の空気を読んで曲順を変えたんだと思います。

次に演奏した曲はファンからの人気が高い「From The Right Angle」*7

ここで会場はさらに盛り上がり、今まで座っていたお客さんもほとんどが立ち上がり、ステージ前の通路がお客さんでいっぱいに。
会場はほぼオールスタンディング状態

これが自然に発生するって、ライブの究極の形なんじゃないかと思いました。

こんなライブが実現するアメリカの文化、Dawesファンの素晴らしさ。
そしてファンをそこまで熱狂させるDawesの演奏の素晴らしさ。

ライブを楽しむための要素が高い水準で、高い純度で存在していることに感動しました。

Dawesのライブ音源がタダで聴けます

Dawesの今回のツアーのライブ音源を収めたライブアルバムがオフィシャルでYouTubeにアップされています!

この音源を聴いただけではDawesのライブの素晴らしさのすべてが伝わることはないと思いますが、少しは雰囲気が伝わるかなと思います。

一度ライブを観てから聴くと、あのライブの興奮が思い出されて、あの会場の空気を思い出せてこのライブ音源の聴こえ方も変わると思うので、一聴して少しでも「いいじゃん」と思ったら、是非一度Dawesのライブを観てみてほしいです。
と言っても彼らのライブは日本では観れないのでアメリカに行ってみるしか今のところは方法がありません。

僕みたいなDawesファンが日本でもっと増えれば、日本でのCDの売上が上がれば、フジロックやサマソニに来てくれる可能性も上がると思うので、好きになった人は是非アルバムを買って聴いてみてください〜。

日本でもDawesのライブが観たい!

*1:因果関係はないけど話としては繋がってるので合わせて読んでほしい気持ちはあります!

*2:ちなみにこの公演の主催はKCRW。YouTubeで海外のライブ映像をよく観る方にはお馴染みじゃないでしょうか?この情報だけで「マジ?」ってちょっとなる。

*3:年が明けて既に60本近くやっている

*4:たまに守れない若者もいましたが、周りの大人に注意されてすぐ素直にやめてました。盛り上がっちゃう気持ち、わかるけどね。

*5:もちろんそればかりではないけど、少なからずそういうライブはある。

*6:僕がDawesのことを知ったのも、アメリカ三大フェスの一つであるLollapaloozaの2012年の中継で彼らの演奏を観たときでした。

*7:僕がカバーしてDawesからギターもらった曲です。http://yui-aochang.hateblo.jp/entry/2017/05/11/131652