OTO TO TABI 2018に行ってきました!
毎年素晴らしいライブを楽しませてくれる北海道の冬フェス。
今年は新たな音楽との出会いもあり、何度もライブを観てきたバンドに対しての新鮮な感動もありました。
ライブを観たアーティストの中から印象的だったアクトを8つ抜粋して感想を書きます。
OTO TO TABIとは
「OTO TO TABI」は札幌で毎冬行われている音楽イベント。
"北海道の冬に音楽フェスを"という想いを持った音楽好きが集まって2011年にスタートしたこのイベントは、年を重ねるにつれその規模を大きくしてきました。
出演アーティストを充実させることはもちろん、それ以外の部分でも、ライブのスペシャル感がより際立つ会場装飾、飲食・雑貨などの出店、キッズエリアや休憩所も用意するなど、長時間行われるイベントを丸ごと楽しんでもらおうという気概を感じるイベントです。
OTO TO TABI 2018のライブアクト感想
柴田聡子
アコースティックギター一本での弾き語り。
特殊な技法を使うわけでもないですが、独特な歌詞が耳に引っかかり、その世界観が妙に気になってしまいます。
長丁場のイベントの最初の出演だったため、時間はまだ午前中。会場もまだ温まっていません。
そんな状況でMCをせずに淡々と曲を演奏していく姿は、自分の音楽に自信があるからなのか、他にやりようがない不器用な人なのか、それすら超越してどうでもよくなっているのか、真意はわかりませんが、もがかない潔さがかっこいいなと思いました。
「次で最後の曲です」と言った瞬間カポタストが壊れるという滅多に見れないアクシデントも起こりました。
カポタストなしでは予定の曲ができないということで急遽披露されたのは、今朝できたという新曲。
できたばかりの曲を完璧に演奏できるわけもなく、途中で一度やり直したり、その後も多少コードを間違ったりもしていましたが、その状況で最後まで一人でやりきる強い気持ちと芯のある歌に、「この人めちゃくちゃハート強いな」と思わずにはいられませんでした。
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YOU SAID SOMETHING
北海道在住のスリーピースバンド。
一度聴いただけで覚えられるポップさ・多幸感のある楽曲が魅力です。
2011年結成のこのバンドを知ったのは2012年。
オリジナルメンバーの頃からライブを観てきましたが、メンバーの加入や脱退を繰り返してたどり着いた現編成は、今までで最もロック的です。
この日のライブはいつもとギターの音づくりが違うようにも聴こえましたが、楽器ごとに帯域の棲み分けがされたバンド全体でのアンサンブルはより立体的に聴こえました。
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ZOMBIE-CHANG
シンセを操って歌うZOMBIE-CHANGことメイリンと、サポートのドラムとベースの3人でのステージ。
40年くらい前のイギリスの小さいライブハウスで鳴ってそうなサウンドに、日本的なメロディ。
音楽ジャンル的にはテクノのようで、ニュー・ウェーブのような感じ。
その音楽性から"日本版Grimes"なんて呼ばれ方をしてもおかしくなさそうですが、Grimesほど"洗練"感はなく、どこかチープ。でもそのチープさが面白い。
前情報がまったくない状態で観たこのライブはなかなか強烈でした。
ライブ後に「ドラムとベースはnever young beachのメンバーだった」というツイートも見つけました。
ぜんぜん気付きませんでしたが、ネバヤンの時より重低音バチバチで、男らしく感じました。
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うえだりょうた
札幌在住のシンガーソングライター。
以前は「青空教室」というスリーピースバンドで活動し、現在は一人での弾き語りやサポートメンバーを迎えてのバンドセットなどで活動。
この日のサポートメンバーは、ドラムにchikyunokikiの奥山勉、ウッドベースにBENBEの北山雅之、キーボードには自身のソロや青柳唯(筆者です)のサポートでも活動する山本裕太郎の3人。
サポートメンバーが完全固定ではなく、キーボードが変わったりベースが変わったりするので、その変化もライブごとに楽しめます。
この編成は初めて観ましたが、ピアノのフレーズとウッドベースの音色が素晴らしく、何度もライブで聴いている曲の新たな面が見えたのが新鮮でした。
演奏したのは通路のようなスペースに設置された「さすらいステージ」という、ほぼ生音に近い環境。
人の温度が伝わる距離の近さや音響設備の少なさなど、メリットもデメリットもあるステージですが、緻密な楽曲と演奏がとても音楽的で、「環境が整っていなくても演者がしっかりしていれば音楽にはまったく問題ない」ということを感じたと同時に、広いステージだとまた違う感じ方をするんだろうなとも思いました。
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山田祐伸+横山祐太+塚野洋平
chikyunokikiのボーカル・ギター山田祐伸、CHUVA CHUVA・dabo da boelのギター塚野洋平、様々なアーティストのサポートで活躍するトランペッター横山祐太の3人によるユニット。
それぞれが別の活動がありながらも、いざ合わさった時に極上の音楽を奏でる音楽IQの高い集団です。
楽曲のアレンジにおいて自由度が高く、即興性もある演奏はライブで観るのが絶対的に正義。
「ゆきんこステージ」「さすらいステージ」の2ステージでの演奏でしたが、どちらも唸るくらい気持ちいい演奏でした。
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BENBE
アコギボーカル、エレキギター、ウッドベースの札幌在住の3人組バンド。
紅一点の女性バイオリンの貞廣萌夏が今年脱退。
3人になってから初めて観たこのライブでは、曲によって横山祐太が参加したり、時には「山田祐伸+横山祐太+塚野洋平」の3人が参加するなどして、フェスならではのコラボレーションが観れました。
会場の空気を暖める力、観客をワイワイとゆるやかに踊らせる力が高いバンドであり、屋外に作られた「ゆきんこステージ」でも冬の寒さを感じさせない盛り上がりを見せました。
飲みすぎていたのか、ウッドベースの北山さんの顔が真っ赤っ赤だったのが印象的です(プレイは最高でした)。
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CHAI
"NEOかわいい"を標榜し、世界2位とグラミー賞を目指す女性4人組バンド。
2017年11月と2018年1月にライブを観て、今回で3度目でしたが、演出は過去2回と割と同じ内容。
セットリストは毎回若干変えつつも、観客を確実に盛り上げるライブのスタイルは完全に確立されています。
この日も抜群に良いライブで会場を沸かせていました。
ライブの内容については、以前ブログに書いたものがあるのでそちらでどうぞ。
OTO TO TABIから10日経った3月13日現在、CHAIはアメリカツアー中。
グラミー賞への距離を着実に縮めています。
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chikyunokiki [VJ PATANICA]
札幌在住の4人組バンド。
今回はVJとしてPATANICAも参加し、演奏に合わせた映像がステージ奥に設置されたスクリーンに映し出されていました。
正六面体(サイコロと同じ形)をモチーフにした抽象的な映像などでライブの雰囲気を作っていましたが、VJの面白みを最も感じたのは「shiny shiny 2」という曲。
ミュージックビデオの映像をそのままライブでも再現し、映像の素晴らしさと演奏の精密さが相まって、素晴らしいステージでした。
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この映像の4:50までを完全再現。
クリックを聴きながら演奏している感じもしなかったので、演奏に合わせて映像のスピードを調整していたのでしょうか。
どうやって映像と音楽を同期させていたのかはちょっとわかりませんが、このパフォーマンスはVJの真価を観たような気がしました。
ライブの終盤では札幌在住のラッパーMC松島が登場し、音源でもコラボしている「shiny shiny 3」や今日初めて合わせるという曲も披露していました。
OTO TO TABI目当てに旅してみては?
Vol.1である2011年からほぼ毎年OTO TO TABIに参加してきました(2016年のみ自分のライブと被って不参加)。
今年は例年に比べて、北海道外から来るアーティストがあんまり自分好みじゃないかな?という印象があったんですが、「今まで楽しくない年がなかった」というイベントへの信頼感で参加してみると、案の定めちゃくちゃ楽しかったです。
未知のアーティストとの出会いや、会場の雰囲気など、イベントまるごとでの満足度が高い北海道の冬フェス。
音楽好きの方はOTO TO TABIに参加するために札幌まで旅するというのもアリだと思います。
2019年もおそらく2月か3月に開催されると思うので、北海道外の方も是非チェックしてみてください!