裸眼日記

札幌在住のミュージシャン青柳唯(あおやなぎゆい)が音楽・映画・お笑いなどについて書くブログ(両目1.5)

良質なポップスか無骨なパンクか。ミュージシャン「のん」が持つ相反する二つの音楽性

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1stシングル 『スーパーヒーローになりたい』を発売することを発表した創作あーちすと「のん」。

ファッション雑誌のモデルとしてデビューし、NHK朝ドラ「あまちゃん」で女優として名を馳せました。

2017年よりミュージシャンとしての道も歩み始めた彼女が、音楽家としての一歩目をどのように踏み出そうとしているのかを考察しました。

洗練された上質なポップス歌手としての顏

キリンジとの関係性

www.youtube.com

ミュージシャンとしてののんが持つ一つの顏はポップスを歌うシンガー

のんが音楽レーベル「KAIWA(RE)CORD」を立ち上げる2ヶ月前、世間を驚かせたのはLINE MobileのCMでしょう。

放映はたった1度きり。
60秒の長尺CMで、のんはキリンジの「エイリアンズ」をアカペラで歌ってみせました

その斬新なCM構成と、普段の話し声とのギャップのある歌声は、インパクトを持ってニュースになりました。

YouTubeに公開されているCMのメイキング映像では、本家「エイリアンズ」を歌っていた元キリンジの堀込泰行に歌唱指導も受けていました。

また、11月3日に行われるイベント「レコードの日」のイメージキャラクターに堀込泰行とのんが揃って選出されていることもあり、今後も二人が音楽の仕事で関わり合いを持つこともあり得そうです。

堀込泰行がのんに楽曲提供をするなんて展開にも期待してしまいますね。

コトリンゴとも良好な関係

instagram.com

事務所の問題などで色々あり、あまり姿を見なくなっていたのんが再び表舞台に帰ってくるきっかけとなった作品『この世界の片隅に』の音楽を担当しているのがコトリンゴです。

コトリンゴはソロミュージシャンとしても活躍していますが、堀込泰行が脱退した後に入れ替わるようにキリンジに加入しています。

そんなコトリンゴのライブにプライベートで遊びに行くなど、のんはコトリンゴとも親交があるようです。

コトリンゴが楽曲提供をしたり、バックバンドでピアノを弾いたりする可能性も考えられますね。

キリンジは日本屈指のポップスバンド。

そんなキリンジから良質なポップスのエッセンスを吸収してミュージシャンとして成長することに期待しています。

新曲は高野寛が作詞・作曲

11月22日に発売する第1弾シングルの表題曲 「スーパーヒーローになりたい」は高野寛による書き下ろし曲です。

レーベル設立を記念した第一弾リリースである『オヒロメ・パックEP』に収録されている「タイムマシンにおねがい」はサディスティック・ミカ・バンドのカバー。

サディスティック・ミカ・バンドのドラマー高橋幸宏(YMOやMETAFIVEのメンバーとしても有名ですね)に見出されデビューしたのが高野寛。 

こういう関係性を見ると今回の1stシングルで高野寛が楽曲提供をしたのも納得です。

しかし俯瞰で見るほどに、のんは素晴らしいミュージシャンたちに囲まれていますね

抑圧を解放するパンクロッカーとしての顏

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ライブがパンク

先月末にのんのライブを生で観てきました。

札幌国際芸術祭のイベントの一環で行われた野外ライブ。

バックバンドは「あまちゃん」の音楽でお馴染みの大友良英やテニスコーツなど。

ステージの音響設備は普通のライブハウスとは違い、アンプにマイクを立てない生音。
外音のスピーカーから出ている音はボーカルマイクだけです。

音楽のことに詳しくない人にもわかりやすく言うならば「学生が教室でやる学祭のライブ」くらいの超ショボい設備。

プロがやるような機材環境ではないですが、芸術祭のディレクターの大友良英が「昔のライブはこうだった」と意図的に狙ってやったものでした。

音響はガチャガチャ、ギターの音は歪みまくり、楽器のバランスも良くない*1

バンドの演奏のデコボコさが既にパンク。こんなにギターの音がデカすぎるプロのライブはなかなか観れません

ギターボーカルののんも自分の声が十分に聴こえていなかったのか、懸命に歌う姿勢にパンクを感じました。

ギターをでかい音で鳴らしたいタイプ(多分)

これは推測の域を出ませんが、のんはきっとギターの音を歪ませまくってでっかい音で鳴らしたいタイプだと思います。

そもそもギターは学生時代からやっていたものの、プロでやっていくにしてはとても上手いとは言えません。

しかし楽器は上手さを競うものではないので下手でも問題ありません。

もし下手ならば技術の代わりに、自分は音楽を、ギターをどう表現したいのかということを明確にする必要があります。

そういう意味でのんはギターをバカでかい音で鳴らしてギャーン!とやりたいんだろうなと勝手に推測しています。

その反面、自分にはできない巧みなアルペジオに憧れる一面もあったりして…。(ギタリストあるある)

事務所のゴタゴタもパンク

ネットのニュースも真偽の怪しい昨今、詳しいことはわかりませんが、事務所のゴタゴタからの独立、LINEライブでのチャンネル開設、自主レーベル設立と自分の道を自分で切り開く活動をするのん。

これはもうパンクの精神なしではやっていけないでしょう。

どこまでも突き進んでいってほしいです。

今後の音楽活動に期待

精神的にはパンク、周りを支えるミュージシャンはポップス。

ライブのMCでは「今後もずっと音楽をやっていく」と言っていました。

素晴らしいミュージシャンたちに愛された大型新人「のん」。

今後どんな音楽を表現していくのかが楽しみです。

1stシングル 『スーパーヒーローになりたい』にはのんが作詞・作曲をした「へーんなのっ 」という曲も収録されるそう。

曲名からして「のんらしさ」が溢れてますね。早く聴きたいです。

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追記 2017/11/27

パンクとポップス両面をさらに打ち出していく

「スーパーヒーローになりたい」を聴きましたが、高野寛作詞・作曲にも関わらずパンクの方向性の歌でした。

音源の歌はきれいでポップの要素も感じますが、ギターはガシガシ弾いていて、パンクを楽しんでいるようです。

また、ポップスとパンクの両面を持つのんちゃんが「KAIWA フェス Vol.1 ~音楽があれば会話が出来る!~」というイベントを開催することが発表されました。

2017年12月28日(木)に東京都恵比寿ガーデンホールで開催。

のんの他に銀杏BOYZと、ゲストで堀込泰行の出演が発表されています。まさしくパンクとポップス。

さらに2ndシングル『RUN!!!』が2018年1月1日に発売されることも決定。

あまちゃんの音楽でお馴染みのSachiko Mが作詞と作曲を務め、大友良英がアレンジを担当します。

のんちゃんの今後にますます注目です。

*1:おそらくリハーサルもやっていないのでしょう。それぞれのミュージシャンのアンプの設定をスタッフが勝手に変えることもできないのでどうしようもないというむず痒い現象が起きていました。