「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」を観てきました!
美術や絵画に興味がない人であっても、ゴッホの名前を聞いたことがないという人は少ないんじゃないでしょうか。
そんなゴッホを特集した展覧会の札幌展初日に行ってきました。
今回のゴッホ展のテーマ
これまでも数々の展覧会でゴッホは特集されてきましたが、今回のテーマは「巡りゆく日本の夢」。
日本を夢見たゴッホが浮世絵から影響を受けて絵画の描き方が変わっていく様だったり、ゴッホの死後に日本の画家たちがゴッホの影響を受けたりといった関係性を描いています。
端的にいうと「ゴッホと日本」がテーマです。
「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」の見所
浮世絵から影響を受けるゴッホの作品
オランダ出身のゴッホがパリに出て浮世絵と出会います。
浮世絵版画を扱う店を経営していたサミュエル・ビングと出会い、その店の屋根裏にあった一万枚(!)の浮世絵に触れ、ゴッホは浮世絵に傾倒していきます。
その頃にゴッホが浮世絵を模写した絵画と、その元になった浮世絵も展示されていました。
ゴッホが浮世絵から作品のヒントを学ぼうとしていたことが伺える展示でした。
また、浮世絵風の大胆な構図*1や、平坦で鮮やかな色面を使った画風などもこれ以降観ることができるようになります。
ゴッホが妄想した架空の日本「アルル」
ゴッホは浮世絵以外にも日本について知ろうとし、ピエール・ロティが日本について書いた小説『お菊さん』を読み、架空の日本像を作り上げていきます。
ゴッホは生涯日本に行くことはないですが、小説や見聞きした情報のみで独自の日本像を作り上げます。
それは実際の日本とは違う、ゴッホの脳内のみに存在する美しい、完璧な国でした。
そんなゴッホが日本を求めて移住したのが南フランスのアルルです。
「この地方は大気の透明さと明るい色の効果のため日本みたいに美しい。水が美しいエメラルドと豊かな青の色の広がりを生み出し、まるで日本版画に見る風景のようだ。」
「ここではもう僕に浮世絵は必要ない。なぜなら、僕はずっとここ日本にいると思っているのだから。したがって、目を開けて目の前にあるものを描きさえすればそれでいい」
妄想した架空の日本をアルルに見たゴッホは、約1年間この地で作品を生み出し続けます。
このゴッホ展では、その頃に描かれた作品も展示されています。
明るい色使いと平和な風景の作品が印象に残っています。
ゴーギャンとの共同生活
ゴーギャンとの共同生活を行ったのがこのアルルです。
有名な「耳切り事件」で2ヶ月間の共同生活は終わりを迎えます。
この地で芸術家の共同体を作ることもゴッホの夢でしたが、それも叶わずアルルを去ることになりました。
精神病以降の作品がエグい
個人的には一番の見所がココ。
ここから作風がガラッと変わり、引き込まれます。
自ら耳を切り精神病院に入院したゴッホ。
その後アルルの近くの街 サン=レミ、パリの近くのオーヴェル=シュル=オワーズと移住し、37歳の若さでこの世を去ります。
耳切り事件以降は精神病に苦しめられ続けるゴッホですが、この時期に描かれた作品たちは群を抜いて見応えがあります。
グニャリとした曲線によって構成された風景画や、六角形の幾何学的な形をした花など、今まで観てきた作品たちとは雰囲気が違います。
帰りに物販にあったポストカードを観ても凄みを感じなかったのですが、絵の具の凹凸すら感じられる本物を間近に観ると圧倒されるのがこの時期の作品たちでした。
順路通りに観てきた展覧会の終盤に現れるこれらの作品群。
だいぶ疲れたきた頃に観ても圧倒されること間違いありません。
ちなみにこの展覧会では展示されてませんでしたが、5390万ドルで取引されたことのある「アイリス」もこの時期に描かれたものです。
ゴッホに憧れた日本人たちによる膨大な資料
ゴッホの死後、遺された作品を保管していた医師・ガシェの一族の家に来訪した日本人の名が記された芳名録3冊が日本初公開されています。
その他にも、ゴッホの聖地オーヴェルを訪れた日本人芸術家たちによる貴重な資料がたくさん展示されています。
ゴッホ展は始まったばかり
ゴッホ展は北海道立近代美術館にて10月15日(日)まで開催中です。
札幌展が終わると2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月・祝) の期間、東京都美術館で東京展が、2018年1月20日(土)~3月4日(日)の期間に京都国立近代美術館で京都展も行われます。
初日のオープン直後に観に行ったのでそれなりに混んでいましたが、平日なら見やすいと思いますし、金曜日は19:30まで延長して開館しているのでオススメです(東京・京都展もそれぞれ20時まで延長します)。
作家の背景やストーリーを追いながら観ると絵画の見方がわかってくるのが展覧会の魅力です。
絵画の展覧会に行ったことがないという方もこの機会に是非。
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追記 2017/09/18
来場者が5万人を突破
「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」は9月15日には来場5万人を達成。
さらに9月16日には一日の入場者数で開幕以来最多となる4983人が来場するなど好評を博しています。
僕が訪れた初日にはなかった顔出しパネルが登場し記念の写真が撮れるようになるなど、展覧作品以外の部分で楽しめる要素も随時追加されています。
札幌展は閉幕まで1ヶ月を切りました。観に行こうと思っている方はお見逃しなく。
*1:近い位置にある大きな木の幹が中央を縦断したり、地平線を画面の上部に描くなど。