『ミッドナイト・イン・パリ』を観ました。
ウディ・アレン監督作。2011年公開。
1960年代から年一ペースで映画を撮り続けているヤバい奴、ウディ・アレンのキャリア最大のヒット作。
75歳でキャリアハイを迎える*1ってどういうこと!?
ウディ・アレン監督作では監督自身の性格やキャラクターが映画の主役の人物像に反映されることが多いと聞くけど、今回もそうらしい*2。
そりゃ毎年映画を撮ってたら、次の作品のテーマについて調べたり勉強したりする時間もなさそうだし、自分の人生の切り売りと妄想だけで作品を撮ってるんじゃないかと思わされる。
人生の3分の1は睡眠と言うけれど、ウディ・アレンの人生の残りの3分の2弱は映画を作ることに注がれているんじゃないだろうか。
それくらいウディ・アレンは多作だし、人生=映画作り、つまり自分の映画=自分、という図式になっているんじゃないかと想像してしまいます。
そんな映画界の巨匠、変人、偉人であるウディ・アレンの代表作の一つ『ミッドナイト・イン・パリ』について、ネタバレ少なめで書こうと思います。
昔の有名人と友達になれるミーハー的喜び
現代、真夜中のパリ。
0時の鐘が鳴ると、1920年代へと誘う古い車がやってくる。
ハリウッドで脚本家として活躍するギル(オーウェン・ウィルソン)は、タイムスリップした1920年代のパリで芸術や文学の歴史に名前を刻む著名人たちと芋づる式に次々と遭遇する。
ギルと映画を観る者はその度に驚きと喜びに胸が高鳴る。
タイムスリップしたからといって次々に有名人たちと会えたり友達になれるかというと、普通そんなわけはないのだけれど*3、そこはもうギャグであって、むしろ悪ノリにすら近い。
それでもヘミングウェイやピカソ、ダリなどの著名人とギルが出会うシーンに興奮するのは、観る者のミーハー心をくすぐるからだ。
ミーハーはぜんぜん悪くない
映画の冒頭、優雅な音楽とともに、ギルらが旅先として訪れているパリの風景を淡々と映していく。
パリは画になる街である。
そしてパリは僕らのミーハー心をくすぐるのに持ってこいの街だ。
映画の終盤でギルはあることに気付き、その気付きこそが、ウディ・アレンが映画を観る者へ伝えたかった一つの大きなメッセージのように受け取れなくもないけど、そんなメッセージは受け取るも受け取らないも自由*4!
ジム・ジャームッシュが、ガス・ヴァン・サントが、ウディ・アレンが好きだと公言し映画通ぶるミーハーよ!
それでいい!僕もミーハーです!
なんせ僕もウディ・アレン作品は『アニー・ホール*5』とこの作品しか観ていません。
サム・ライミ監督の『スパイダーマン』シリーズが好きだと公言しながらサム・ライミ作品はこれしか観てないし、クリストファー・ノーラン好きを自称しながら『メメント』も観てません。
おわりに
ミーハーを素直に楽しめたらこの映画はめちゃくちゃ面白いし、細かいことを気にしだしたら欠点に目がいきそうな作品です。
真面目な顔してちょっとズレたこと言っている人を「それズレてない?本当はこうでこういうことじゃない?」と指摘するより、それをギャグと捉えて笑ったり、本当はズレてることこそ本質だということに気付けたりする人生にしていきたいと思っています。
パリに行って雨に降られたいです。