裸眼日記

札幌在住のミュージシャン青柳唯(あおやなぎゆい)が音楽・映画・お笑いなどについて書くブログ(両目1.5)

映画『勝手にふるえてろ』は松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈が役にハマりまくりのキャスティング最強映画

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映画『勝手にふるえてろ』を観てきました。

毎年100本以上(2017年は163本!)映画館で映画を観ている友人が「2017年の邦画で一番面白い」と絶賛していたので、映画館に足を運んで観てきました*1

映画『勝手にふるえてろ』の俳優陣が役にハマりまくっている

映画を楽しむ上で、ストーリーやセリフまわし、映像美などと並列して「役者の演技」に感動することがよくあります。

僕自身はお芝居の経験はないので専門的なことはわからないのですが、映画を観ていて「このシーンのこの仕草がいい」「この俳優が役にハマっている」という気持ちよさを感じることがあります。

この記事では映画『勝手にふるえてろ』の感想を、役者に注目した形で書こうと思います。

主役であるOLヨシカ役の松岡茉優

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10年もの長きにわたって片思いし続けている中学時代の初恋相手「イチ」と、突然告白してきた職場の同期「ニ」との間で揺れ動く24歳のOL「ヨシカ」を演じるのは松岡茉優。

下積み時代を経験してきた子役出身女優

松岡茉優はテレビ東京「おはスタ」のおはガールとして本格デビュー後、映画『桐島、部活やめるってよ』、NHK朝ドラ『あまちゃん』で注目を集めました。

それ以降、数多くのドラマや映画に出演、バラエティ番組のMCを務めたりと大活躍ですが、活動が軌道に乗るまでの何年間かはオーディションに落ち続けていたと本人がテレビで語っています。

13歳からテレビに出始めて、「おはスタ」以降の辛い時期を乗り越えての今の活躍。

バラエティ番組でも通用する器用さや、トークでの人当たりの良さを見ていると「色んな経験をしてきたんだな…」と思わざるを得ません。

ヨシカと通じるオタク気質

ヨシカの趣味は「絶滅した動物をネットで調べること」。

その趣味の純度は、ウィキペディアを見て夜を明かすだけにとどまらず、アンモナイトの化石を購入して愛でるほど。

そんなオタク気質のヨシカは中学時代から片思いしている「イチ」との思い出を、10年経った今も頻繁に思い出しては妄想します。

そんなヨシカを演じる松岡茉優は大のモーニング娘。オタク。

テレビを始めとした様々なメディアでモー娘。愛を語っている姿をよく見ます。

趣味の対象こそ違えど、共通する人並み外れたオタク気質と根暗さ。

自分の世界に没入しがちなオタク気質のヨシカを松岡茉優が完璧に演じきっていたのはその共通点があったからかもしれません。

『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』に見る松岡茉優の凄さ

世間一般の評価ももちろんありますが、僕も例に漏れず松岡茉優は女優としてものすごい実力があると思っています。

おそろしいと感じるのは、前述した器用さとともに併せ持つ「役にハマる力」

2016年に放送された『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』では松岡茉優役をおそろしいリアリティで熱演。

このドラマはフェイクドキュメンタリー仕立てで作られており、画面に登場する人物は全員本人役で出演しています。

ドラマ内で松岡茉優は、リアルでも仲の良い伊藤沙莉(この人の演技も超エグい)とバチバチの喧嘩をしたり、事務所を辞めてモーニング娘。に加入したりします。

本人役なので本人の趣味も反映されてのモーニング娘。加入という流れは自然ですが、ドラマで放送されたモーニング娘。のライブに松岡茉優が参加するシーンは、本物のモーニング娘。のライブを撮影したものでした。

曲の振り付けやフォーメーション、歌詞や歌割りを覚えて、本物のモーニング娘。に混じってライブで大勢の観客を前に完璧にパフォーマンスをしたのです。

腹筋がバキバキに割れていたのが当時話題にもなりましたが、そういうことを平気でやるストイックさも女優力を裏付けています。

ヨシカ役は松岡茉優しか考えられない

女優としての評価の高さや近年の活躍ぶりからは意外とも思えますが、『勝手にふるえてろ』は松岡茉優にとって映画初主演作品

様々な経験を経た松岡茉優の満を持しての初主演作品はこれ以上ない当たり役。

ヨシカ役は松岡茉優しか考えられません。

ヨシカの彼氏「ニ」役の渡辺大知

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ヨシカの職場の同期の「ニ」役を演じるのは、ロックバンド「黒猫チェルシー」のボーカル・渡辺大知。

ヨシカの本命は「イチ」のため、告白したりデートを重ねたりとアプローチをするもヨシカの反応は微妙。

それでもめげずに明るく、ちょっとウザかったり痛かったりもするけど、健気で一途に頑張るニは憎めないイイ奴。

このキャラクターが渡辺大知にハマりまくっています。

渡辺大知本人の性格を僕は知りませんが、表情や言葉づかい、仕草やセンスから溢れ出るダサさや愛くるしさは本人の天然モノなんじゃないか?演技をしてないんじゃないか?とすら思えるほどです。

同系統のキャラを演じた『色即ぜねれいしょん』から大きく成長

僕が俳優としての渡辺大知の演技を観たのは映画『色即ぜねれいしょん』ぶり。

2009年に公開された『色即ぜねれいしょん』で渡辺大知は映画初出演にして初主演。

「みうらじゅん原作の自伝的小説」と聞けば想像がつく人もいると思いますが、青さと痛さが眩しい音楽と青春の映画です。

この映画で渡辺大知は演技未経験ながら2000人のオーディションの中から主役に抜擢されています。

『色即ぜねれいしょん』の役柄「乾純」と『勝手にふるえてろ』の「ニ」は、ザックリ分けると同系統のキャラクター。

こういうキャラクターが得意、というよりも本人に近い部分があるのかなと推測できますが、2009年のデビュー作と比べても『勝手にふるえてろ』の渡辺大知は俳優としてのレベルが数段上がっているように感じました。

「ニ」役は渡辺大知しか考えられない

話し方や表情、醸し出す雰囲気などの演技力でカバーできそうな部分以外でも、渡辺大知の今の年齢や背丈、体型やスーツ姿なんかも役にハマっているように思えました。

ニ役は渡辺大知しか考えられません。

ヨシカの同僚 来留美(くるみ)役の石橋杏奈

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ヨシカの同僚「来留美」役を演じるのは石橋杏奈。

ヨシカが職場で仲良くしている唯一の人物。

同世代の女子同士ということでヨシカの恋愛の相談に乗ったりもしています。

来留美の言動が物語を大きく左右したりもするのですが、どうにも掴みどころがないキャラクター。

振り切っていい人でも悪い人でもなく、極端な部分がない上に本音も見えてこない。

来留美の性格は、わかりやすい言葉で説明できない「ふつうさ」と、奥が見えない「狙っていない謎さ」があるように思いました。

これだけ聞くと、来留美役を演じるのってめちゃくちゃく難しそうだと想像できるんですが、石橋杏奈は完全に演じきっています。

というのもこの人物像、僕が感じている石橋杏奈の性格ととても似ているのです。

石橋杏奈は一人カラオケで高速英語ラップをする

石橋杏奈のストレス解消法は一人カラオケ。

その選曲が少し偏っていて、彼女は英語のラップの曲を繰り返し歌います。

カラオケの機能でBPM(曲のスピード)を歌うたびに上げていき、BPMがマックスになるまで同じ曲をラップし続けるというのが彼女のストレス解消法です。

レギュラー出演するNHKのコント番組「LIFE! ~人生に捧げるコント~」においてこのストレス解消法が紹介され、番組では最速BPMで見事に高速英語ラップをかます姿が放送されていましたが、英語は話せないそうです(歌詞の意味も理解していない)。

このストレス解消法の独特さと、番組内でこのストレス解消法を紹介した際のトークの雰囲気など、どこか掴みどころがなくて謎に秘められている空気感があります。

石橋杏奈は暗闇が好き

石橋杏奈は暗い場所が好きです。

これも「LIFE!」で紹介されていたエピソードで、中学生のころから暗いところにいると落ち着くようになったそうです。

この「暗闇が落ち着く」ということ自体は僕も共感できるポイントではあるんですが、番組内でこのことを話しているのを見ると、どこか「コイツ何言ってんだ?」という空気を感じさせる不思議な雰囲気を醸し出しています。

共通した「掴みどころのなさ」

「決して悪い奴じゃないのはわかるんだけど、何を考えているのかわからない。」

そんな風に感じさせる人物像が石橋杏奈と来留美に共通してあるように思いました。

インタビューでは「実生活でも恋バナの聞き役になることが多いので演技はナチュラルだった」と語っています*2が、その相談を受けての返答のスタンスも役柄と本人で共通するところがあるように感じました。

来留美役は石橋杏奈しか考えられない

イマイチ本心が見えないアンニュイで謎なあのニュアンスは誰でも演じられるものではありません。

本人はいろいろなことを意識した上で、あくまで"演技"をしてはいるものの、役柄と自分の共通点を上手に利用して演技をしていたように思います。

来留美役は石橋杏奈しか考えられません。

『勝手にふるえてろ』はキャスティング最強映画

上記した3人は主演とそれに次ぐ役柄の映画の中心キャスト。

それ以外にも古舘寛治や片桐はいりといった安心感のあるベテラン俳優がこれまた個性的なキャラクターで脇を固めます。

切なくて爽やかな主題歌で後味も最高

主題歌は渡辺大知がボーカルを務めるロックバンド 黒猫チェルシーの 『ベイビーユー』。

切なくて爽やかで、映画のエンドロールでこの曲がかかるのも最高。

映画を構成するいろんな要素の選択や配置が的確で、パズルにピースがピタリとハマる気持ちよさを感じました。

www.youtube.com

黒猫チェルシー、あんまり聴いてこなかったけど、初期のパンクやガレージロックを経た上で、このポップで切ないロックンロールの良曲に辿りつく感じ、バンドとして理想ですね。

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追記 2018/01/18

黒猫チェルシーが主題歌を担当していることに関しては「出演者のバンドだから」という安易な理由ではなく、コンペティションだったようです。

大九監督から「黒猫チェルシーもコンペに参加してくれ」という旨を伝えられ、渡辺大知が曲を書いたそうです。

自分としては負ける気はまったくなかったですね。

出演させてもらったことで撮影現場の空気感もわかっていたし、「この映画のラストにはこういう曲がかかっていてほしい」ということも人一倍わかっている立場だったので。

「この映画に対する自分の思い、届け!」というか、「ラブレターを書いたので受け取ってください!」くらいの気持ちで曲を書きました。

とインタビュー*3で答えていますが、まさに映画のラストにぴったりの曲。

主題歌が違っていたら、映画のイメージも少し変わっていたかも。

そういう意味でも最高の主題歌だと思いました。大知君、演技も主題歌も最高!