映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を観ました。
ウェス・アンダーソン監督。
ネットや口コミでの評判が良かったので、ハードルが上がりすぎて逆に良くないんじゃないの〜?なんて思いながら観たらびっくり、超面白い!
映画のテイストが僕のツボすぎました。
アメリを彷彿とする映像の空気感
ウェス・アンダーソン監督の映画は『ファンタスティック Mr.FOX』しか観たことありませんでしたが(確かに同じ監督が撮っている空気感のある作品でした)、同監督の他の映画も観なきゃダメだぞ!と思えるほどに、監督の個性が僕のツボでした。
僕は男子でありながら、なんてったって『アメリ』が好きなんですが、『グランド・ブダペスト・ホテル』の映像の空気感は『アメリ』のそれに近く、かわいい!淡い!色づかい!オシャレ!軽快!コミカル!でした。
泣けるはずのシーンも泣かせない感情を抑えた演出
本作はグランド・ブダペスト・ホテル(という名のホテル)にまつわる一人の少年とその師匠の物語を描いています。
かなり波乱万丈で、大ピンチに陥ったり、斬られた生首が画面いっぱいに映ったりと一見グロテスクなシーンもあるんですが、この映画特有の空気感で、良くも悪くも辛さを感じません。
感情過多にならずにあえて抑えめに、どんなシークエンスでも演出がこの空気感の外から出ないので、テンポも良いし見やすい、そしてオシャレ。
スパイの万能さは笑いに変えやすい
本作には「映画の醍醐味」的なテーマがふんだんに盛り込まれているんですが、その一つは、スパイものの映画にある秘密結社の万能感。
よく映画に登場するハッカーの万能感のワクワクにも通じる、秘密結社の万能感・現実世界にもありそうでなさそうな裏世界感は映画の醍醐味の一つです。
本作ではその秘密結社が活躍するくだりをとてもコミカルに描いていて、ベタなテンドンがかなり笑えます。
そもそも「すごすぎる」ことやものは、「普通じゃない」=「笑いのポテンシャルを持っている」ので、スパイものがコメディと結びつくのは理にかなっている*1し、本作はそれがマッチしていました。
フェイバリットな映画がまた一つ増えました。
*1:トム・クルーズやキャメロン・ディアスが出演する『ナイト&デイ』('10)なんかもスパイの万能さをギャグに昇華していて面白いです。