裸眼日記

札幌在住のミュージシャン青柳唯(あおやなぎゆい)が音楽・映画・お笑いなどについて書くブログ(両目1.5)

Yahoo!ライフマガジンに札幌カフェの記事を書きました!

Yahoo!デビューしました

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ライターとしてYahoo!ライフマガジンに記事を書きました!本日公開!

lifemagazine.yahoo.co.jp

札幌のオシャレで個性的なカフェ3軒について書きました。

「カフェから始める私の旅。 」というテーマで組まれた特集の、東名阪福札の5ヶ所のうちの札幌編を僕が担当しました。

カフェを目的に札幌旅をする価値のある個性的なお店ばかりです。

カフェが好きな方やコーヒーが好きな方、札幌に興味のある方は読んでみてください!

 

良質なポップスか無骨なパンクか。ミュージシャン「のん」が持つ相反する二つの音楽性

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1stシングル 『スーパーヒーローになりたい』を発売することを発表した創作あーちすと「のん」。

ファッション雑誌のモデルとしてデビューし、NHK朝ドラ「あまちゃん」で女優として名を馳せました。

2017年よりミュージシャンとしての道も歩み始めた彼女が、音楽家としての一歩目をどのように踏み出そうとしているのかを考察しました。

洗練された上質なポップス歌手としての顏

キリンジとの関係性

www.youtube.com

ミュージシャンとしてののんが持つ一つの顏はポップスを歌うシンガー

のんが音楽レーベル「KAIWA(RE)CORD」を立ち上げる2ヶ月前、世間を驚かせたのはLINE MobileのCMでしょう。

放映はたった1度きり。
60秒の長尺CMで、のんはキリンジの「エイリアンズ」をアカペラで歌ってみせました

その斬新なCM構成と、普段の話し声とのギャップのある歌声は、インパクトを持ってニュースになりました。

YouTubeに公開されているCMのメイキング映像では、本家「エイリアンズ」を歌っていた元キリンジの堀込泰行に歌唱指導も受けていました。

また、11月3日に行われるイベント「レコードの日」のイメージキャラクターに堀込泰行とのんが揃って選出されていることもあり、今後も二人が音楽の仕事で関わり合いを持つこともあり得そうです。

堀込泰行がのんに楽曲提供をするなんて展開にも期待してしまいますね。

コトリンゴとも良好な関係

instagram.com

事務所の問題などで色々あり、あまり姿を見なくなっていたのんが再び表舞台に帰ってくるきっかけとなった作品『この世界の片隅に』の音楽を担当しているのがコトリンゴです。

コトリンゴはソロミュージシャンとしても活躍していますが、堀込泰行が脱退した後に入れ替わるようにキリンジに加入しています。

そんなコトリンゴのライブにプライベートで遊びに行くなど、のんはコトリンゴとも親交があるようです。

コトリンゴが楽曲提供をしたり、バックバンドでピアノを弾いたりする可能性も考えられますね。

キリンジは日本屈指のポップスバンド。

そんなキリンジから良質なポップスのエッセンスを吸収してミュージシャンとして成長することに期待しています。

新曲は高野寛が作詞・作曲

11月22日に発売する第1弾シングルの表題曲 「スーパーヒーローになりたい」は高野寛による書き下ろし曲です。

レーベル設立を記念した第一弾リリースである『オヒロメ・パックEP』に収録されている「タイムマシンにおねがい」はサディスティック・ミカ・バンドのカバー。

サディスティック・ミカ・バンドのドラマー高橋幸宏(YMOやMETAFIVEのメンバーとしても有名ですね)に見出されデビューしたのが高野寛。 

こういう関係性を見ると今回の1stシングルで高野寛が楽曲提供をしたのも納得です。

しかし俯瞰で見るほどに、のんは素晴らしいミュージシャンたちに囲まれていますね

抑圧を解放するパンクロッカーとしての顏

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ライブがパンク

先月末にのんのライブを生で観てきました。

札幌国際芸術祭のイベントの一環で行われた野外ライブ。

バックバンドは「あまちゃん」の音楽でお馴染みの大友良英やテニスコーツなど。

ステージの音響設備は普通のライブハウスとは違い、アンプにマイクを立てない生音。
外音のスピーカーから出ている音はボーカルマイクだけです。

音楽のことに詳しくない人にもわかりやすく言うならば「学生が教室でやる学祭のライブ」くらいの超ショボい設備。

プロがやるような機材環境ではないですが、芸術祭のディレクターの大友良英が「昔のライブはこうだった」と意図的に狙ってやったものでした。

音響はガチャガチャ、ギターの音は歪みまくり、楽器のバランスも良くない*1

バンドの演奏のデコボコさが既にパンク。こんなにギターの音がデカすぎるプロのライブはなかなか観れません

ギターボーカルののんも自分の声が十分に聴こえていなかったのか、懸命に歌う姿勢にパンクを感じました。

ギターをでかい音で鳴らしたいタイプ(多分)

これは推測の域を出ませんが、のんはきっとギターの音を歪ませまくってでっかい音で鳴らしたいタイプだと思います。

そもそもギターは学生時代からやっていたものの、プロでやっていくにしてはとても上手いとは言えません。

しかし楽器は上手さを競うものではないので下手でも問題ありません。

もし下手ならば技術の代わりに、自分は音楽を、ギターをどう表現したいのかということを明確にする必要があります。

そういう意味でのんはギターをバカでかい音で鳴らしてギャーン!とやりたいんだろうなと勝手に推測しています。

その反面、自分にはできない巧みなアルペジオに憧れる一面もあったりして…。(ギタリストあるある)

事務所のゴタゴタもパンク

ネットのニュースも真偽の怪しい昨今、詳しいことはわかりませんが、事務所のゴタゴタからの独立、LINEライブでのチャンネル開設、自主レーベル設立と自分の道を自分で切り開く活動をするのん。

これはもうパンクの精神なしではやっていけないでしょう。

どこまでも突き進んでいってほしいです。

今後の音楽活動に期待

精神的にはパンク、周りを支えるミュージシャンはポップス。

ライブのMCでは「今後もずっと音楽をやっていく」と言っていました。

素晴らしいミュージシャンたちに愛された大型新人「のん」。

今後どんな音楽を表現していくのかが楽しみです。

1stシングル 『スーパーヒーローになりたい』にはのんが作詞・作曲をした「へーんなのっ 」という曲も収録されるそう。

曲名からして「のんらしさ」が溢れてますね。早く聴きたいです。

*1:おそらくリハーサルもやっていないのでしょう。それぞれのミュージシャンのアンプの設定をスタッフが勝手に変えることもできないのでどうしようもないというむず痒い現象が起きていました。

衣装の着替えなし、小道具は1点のみ。圧倒的演技力と構成力のみで笑いを生み出すコント王者シソンヌの単独ライブ「モノクロ」を観てきた

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9月2日の京都公演で千秋楽を迎えたシソンヌの単独ライブツアー「モノクロ」

だいぶ期間が空いてますが、今年2月に観た札幌公演を振り返ろうと思います。

「モノクロ」のテーマ

「地方のお客様を増やしたい」という思いのもと、全国47都道府県行脚を目標に掲げスタートしたシソンヌの単独ライブツアー「モノクロ」。

全国各地でフットワーク軽く、体一つでコントができるように衣装の着替えはなし、セット・小道具もラジオ一つのみ、照明も地明かりのみ

チケット代を2,000円という破格に設定し、公演時間を60分という短めに設定しているのもこのツアーのコンセプト。

単独ライブにしては短い時間ですが、コンパクトにギュッと詰め込まれた上質なコントにたくさん笑わされました。

 シソンヌの魅力が凝縮された60分「モノクロ」

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キングオブコント2014で優勝し日本一のコント師となったシソンヌの持ち味は抜群の演技力

  • 毎年恒例の餅つき大会が中止になった
  • 若い女の子がバイトを辞めたいと店長に伝える

どこにでもありそうな普遍的なテーマを超リアルに、時に過剰に演じます。

そこに笑いが生まれるのは、リアリティとありえなさの絶妙なコント設定があるからだと思いました。

リアリティーとファンタジーが同居する絶妙な設定が笑いを生む

餅つき大会に関しては、「毎年本気で餅つき大会に臨み、下積みのように"こねる側"を担当していたが、今年やっと"つく側"の大役を任せられた男」という設定があり、さらに「去年東京から地元に帰ってきて、幼馴染が本気で餅つきをしている姿を見てそこに自分が本当にやりたいことを見出だし、それを披露する今年の餅つき大会で彼女にプロポーズをしようと密かに決意している男」という設定がある。

バイトの女の子に関しても「ずっと引きこもりだった女の子が自分を変えるために始めた初めてのバイト」という設定の裏には「バイト仲間の男の子に初めての恋をするが、初めてが故にそれが恋だと気付いていない」という設定がある。

その設定と演技の中の、リアリティとファンタジーのバランスが笑いを誘います。

じろうのイカれた憑依芸と、長谷川の圧倒的常識人

東京03やかもめんたるなんかも、そういったリアリティと演技力で魅せるタイプですが、それぞれ得意ジャンルや役割、個性が違うように思います。

シソンヌの個性は、じろうさんの憑依芸(ヤバイけどどこかに居そうなおっさん、女装)と、長谷川さんの圧倒的普通な人としてのツッコミ

じろうさんは色んなタイプの変人だったり個性の強いキャラになりきりますが、長谷川さんはいつも常識人で、じろうさん演じる変人の変な言動に対して、観ている人の気持ちを代弁するような納得・共感のできる一言をポンと置いてくれます

「確かに!」「わかる!」という納得感が笑いを生みます。

時に演技がリアルすぎる故に一見スルーしそうにもなるじろうさんのおかしな言動の、そのおかしい部分のツボをクッと押してくれて「気持ちいい!」という笑い。

それだけで終わることもなく、さらにもう一歩踏み込んだツッコミ・気の利くワードで笑いが上乗せされることもあります。

東京03飯塚さんの強いツッコミも大好きですが、シソンヌ長谷川さんのツッコミ、その普通さ・器用さがとても好きです。

ここまで長谷川さんのツッコミを褒めてきましたが、それが成立するのもちろんじろうさんの変人憑依があってのこと。

シソンヌのエースはあくまでじろうさんです。

二人がそれぞれ別の役割を完璧に全うしているこのスタイル、クオリティ、実力、今の日本のコント師の中でもトップクラスであることは間違いありません

フルセットでのライブを観るのが恐ろしい

普段の単独ライブではコントごとに衣装も変えますし、舞台のセットも変わります。

照明を工夫することだってあるでしょうし、コントとコントを繋ぐ幕間映像もライブ全体のクオリティに関わってくるでしょう。

それらが一切なしでこのクオリティ、この面白さ。

フルセットでのライブなら一体どこまで面白くなっちゃうのか、コントの世界に没入してしまうのか。

想像するだけで恐ろしいですが、観てみたくてたまりません。

DVDもいいですが、ライブで体感したい。

シソンヌのフルセットでの単独ライブ札幌公演の実現を切に願います。

建物全体がステージであり客席!?映画のような感動が湧き上がる新感覚の体験型ライブ「クロージングナイト in ガラスのピラミッド」が衝撃的だった

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今まで音楽のライブを500本以上観てきましたが、今まで観たどのライブとも違う初めての体験をしました。

音楽の演奏でありながら、芸術的で、宝探しのような体験型アトラクションでもあり、最終的には映画のよう

こんな体験は今までしたことがなく、これから体験することも多くないと思います。

そんな新しいライブの形を見せた札幌国際芸術祭の「クロージングナイト in ガラスのピラミッド」がどんなライブだったかを紹介します。

あまりに新しすぎて説明も難しいのですが、一つずつ説明していき、僕の体験した衝撃を伝えていこうと思います。

札幌国際芸術祭(SIAF)を締めくくるクロージングイベント

今回ご紹介するライブの名前は「クロージングナイト in ガラスのピラミッド」

8月6日〜10月1日の57日間に渡って行われた札幌国際芸術祭(通称SIAF・サイアフ)という芸術祭の内の一イベントです。

SIAFは札幌全域で行われる大規模な芸術祭

SIAFは期間中様々な展示やイベントが札幌のあらゆる場所で行われていて、会場はいわば"札幌市全域"

2014年の初開催時にはゲストディレクター(総監督のようなポジション)に坂本龍一を招いて行われ、3年越しに行われる今回が第2回目となります。

そんな大規模な芸術祭のクロージングイベントが9月30日に札幌モエレ沼公園で9時間に渡って行われ、そのイベントの最後を飾ったのが「クロージングナイト in ガラスのピラミッド」です。

内容盛り沢山のクロージングイベント

クロージングイベント自体は朝10時からスタート。

東日本大震災からの復興を機に始まった大風呂敷プロジェクト*1で縫った一万平米の風呂敷を広げることから始まり、『あまちゃん』や『この世界の片隅に』でお馴染みの"のん"によるライブや、プロやアマチュアもごちゃまぜの「音楽&アート解放区」(僕も出演しました)、楽器が演奏できなくても合奏を体験できる「オーケストラSAPPORO」などが行われました。

そしてこの長丁場のイベントの最後に行われたのが「クロージングナイト in ガラスのピラミッド」です。

イサムノグチが設計したモエレ沼公園を象徴する建物である「ガラスのピラミッド」全体を使って行われた体験型ライブです。

新しいライブの形を見せた「クロージングナイト in ガラスのピラミッド」

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会場となったガラスのピラミッド

出演者は大友良英、テニスコーツ、立花泰彦の4人

クロージングナイト in ガラスのピラミッドに出演したのは下記の4名。

名前を見ただけではピンと来ない方のためにも簡単に説明します。

大友良英

札幌国際芸術祭2017のゲストディレクター。

NHKドラマ『あまちゃん』や『トットてれび』の音楽、映画『アイデン&ティティ』や『色即ぜねれいしょん』の音楽など、数々の映画音楽や劇伴を手がける。

その一方アンダーグラウンドなノイズミュージック、フリージャズのような音楽も演奏する。

今回のライブではアコースティックギターを演奏。

テニスコーツ

植野隆司とさやによる二人組ユニット。

日本国内のみならず世界でも活躍しており、SIAFの期間中には札幌の至る所で毎日のようにライブをするなど、今回のSIAFでの中心アーティスト。

今回のライブでは植野がアコースティックギターを、さやは歌(声)のほかにキーボード・小さな弦楽器(楽器名不詳)などを演奏。

立花泰彦

北海道浦河町在住のジャズベーシスト。

かつてはピンクレディーや野口五郎など、数々の日本の歌謡・J-POPのアーティストのバッグでベースを弾いてきた

大友良英からのオファーで、SIAFのイベントに複数出演。

今回のライブではウッドベースを演奏。

会場はガラスのピラミッドの全フロア

会場となるガラスのピラミッドは、全面ガラス張りのピラミッド状の建物

3階までフロアがあり、さらに階段を登れば屋上に出ることができます。

SIAFの期間中、ガラスのピラミッドでは1階から3階までびっしりとアートの展示がされていました。

今回のライブ会場は、その展示スペースを含むガラスのピラミッドの全フロア

観客はフロアを移動しながら、出演者を追いかけたり探したりしながらライブを楽しみます。

まだ何を言っているのかわからないかも知れませんが、その「???」は会場のお客さんの気持ちの追体験と言ってもいいかもしれません。

もうちょっと説明していきます。

出演者は会場を自由に動き回る

(大友さんはトイレの水ともセッションする)

このライブの最大のポイントがここです。

「ステージの上にすべての出演者が集まり、観客は客席でその演奏を楽しむ」という今までのライブの概念が通用しないのがこのライブ。

4人の出演者はそれぞれに、会場内を移動しながら演奏します。

1階には大友さんが、2階にはさやさんが、エレベーターには植野さんがいて、それぞれに演奏しているという感じ。

観客は自由に会場内を移動して、自分の好きな場所で好きな音楽を楽しみます。

大友さんを追いかけて会場中を移動するもよし、途中で大友さんから離れて他の演奏者を探しに行くもよし、誰もいないフロアで演奏者が来るのを待ち伏せするもよし。

ガラスのピラミッド全体がステージであり、客席でもあるということ。

どこでどう楽しむかは観客一人ひとりに委ねられているということです。

植野さんはずっとエレベーターの中

それぞれの演奏者はゆっくりと歩きながら演奏しつつ、一つの場所にある程度留まったりしつつも、基本的には「移動する」のがルール。

そんな中、テニスコーツのギタリスト植野さんだけはずっとエレベーターの中から動かないという離れ業を演じていました。

出演者4人の中でそういう打ち合わせがあったのか、「エレベーターにずっといるの面白くない?」と植野さんが独断で行動していたのかは謎ですが、4人中の1人が「本人は全く動かない」「しかし乗り物自体は動いている」「すぐに乗れる(聴ける)時もあれば、かなり待たなきゃならない時もある」「一度に5,6人しか乗れない(演奏を聴けない)」という建物の中でも特徴を持つエレベーターという乗り物に常駐しているというのは、このイベントの面白みをより深くしていたように思えました。

エレベーターは常に全ての階に停まるようになっていて(植野さんがお客さんに「全てのボタンを押してください」と言っていた)、観客は好きなタイミングで乗ったり降りたりできます。

「そろそろ植野さんに会いたくなってきたなあ」なんて言いながらエレベーターに向かうと必ず会えるのは安心感すらありました(他の演奏者は探さないと会えない)。

演奏の内容は即興

各演奏者による演奏は完全に自由。

基本的には即興で、その場その場に合った音をそれぞれが出していました。

その中でもエレベーターの中にずっといた植野さんは割と既存の曲を演奏。

アコースティックギターの生演奏でありながら、ぬるっと次の曲に自然と移り変わる様はDJのようでした。

テニスコーツの曲を弾いたり、あの有名な「禁じられた遊び」を弾いたりして(僕のバンドメンバーが「イェー」と盛り上がりミニエレベーター内に笑いが起きる)、「エレベーターの中にずっといる」というユーモアのある行動を取る人ならではの演奏で面白かったです。

観客はルールを教えてもらえない

このツイートを見るとどうやら最初に軽い説明はあったようですが、簡単な説明を聞いただけではこのライブの楽しみ方はわかりません

僕は数分遅れて途中参加(上階のアート展示を観ていた)だったので、最初は何が起きているかわからず、時間が経つにつれて徐々に意味を理解して楽しみ方がわかってきました。

他のお客さんたちも同様で、徐々にこのライブのルールと楽しみ方がわかっていく様が見て取れました。

スタッフもルールを知らない

僕はバンドメンバーたちと3人で行動していて、割と早い段階でこのライブのルールに気付いたのですが、どうやらスタッフは全く説明を受けていないようでした。

エレベーター前にいるスタッフに「(エレベーターに)乗っていいですか?」と聞くも「今大友さんは階段で上に向かってますよ」「エレベーターに乗って展示を観に行くのはいいですが、ライブは観れないですよ」との答え。

「いや違うでしょ。確かに今大友さんが2階にいるところからライブはスタートして、大友さんは3階に向かうところだけど、別の演奏者はこの建物のどこかでそれぞれ音を鳴らしてるんですよ。だから他の人を探しに行きたいんですよ」とスタッフの人に対して思うも(口には出してない)、まだ僕らもルールを推測している段階で確信はしていなかったので、スタッフの人に従って階段に向かってしまいました…。

このスタッフの方達はそもそも「展示の見回りスタッフ」

今回のライブイベントのためのスタッフではないため、基本的には展示のことしか知りません(本来ライブのことも教えてもらっていてもいいとは思うけど)。

しかしある程度時間が経った頃にはスタッフの人たちもいなくなり(おそらくルールを知っているスタッフからの説明が遅れて入ったのでしょう)、僕らはルールを確信してワクワクしながら会場中を移動してライブを楽しんだのでした*2

ライブの最後は感動の「全員集合」

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会場にいるお客さんの中で最もこのイベントを楽しんでいたのはエレベーターに入り浸っていた小学生の男の子か、または僕らだったんじゃないか、というくらいに会場中を移動しまくっていた僕と僕のバンドメンバー。

ライブの終わり方はなんとなく想像がついていました。

それは「すれ違い続けていた4人が一箇所に集まっての演奏」

一瞬ニアミスするようなこともあるけれど、基本的にはそれぞれがバラバラの場所で、バラバラの曲を演奏する4人。

彼らが一箇所に集まって、演奏する。

それがこのライブの終わり方だろうというのは、なんとなく想像がつきます。

ウッドベースを演奏する立花さんが移動するのについて行きつつ、「植野さんに会いに行こうか」と方向を変えエレベーターに向かうも、植野さんがいなかった時はゾッとしました。

「ヤバイ!植野さんいない!集合しちまう!」

僕らは急いで1階に向かうと、フロアの端には大友さん、そこから20mほど離れたところには植野さんがいました。

集合しかけている…!

上を見ると階段の踊り場に立花さん。

植野さんのギターと立花さんのベースが、遠くにいながらも合奏しているのに気付きます。そのうちに大友さんも合奏に参加。

徐々に距離が近くなる3人、姿が見えないさやさんの声がアート作品である黄色い空間の中から聴こえてきます

そして最後には4人が集合。

そのまま全員で一曲演奏してライブは終了。

予定より30分早く、約1時間で終わりを迎えました。

滅多に体験できない貴重なライブ

ライブの楽しみ方が独特なので、楽しみ方がわからなかったり、ルールがわかっても楽しさを見出せなかったりする人もいそうな、ちょっと難易度が高めのライブかなと思いました。

難易度が高いということは、ライブの形としては、集客は難しいかもしれません。

集客が難しい=収益の目処が立ちにくいとなると、このライブの形がこれから広がって行くというのは簡単ではないかもしれません。

  • SIAFのイベントとして行われているからこそ、アートの展示を含めた空間で行えたこと
  • 一日がかりの長丁場のクロージングイベントの一環として行えたこと
  • 大友良英やテニスコーツといったアートと音楽の両面を持ちつつも知名度のある演奏者が揃ったこと

これらの条件が完璧に揃っていたことで、集客面やクオリティ面が担保され、今回のイベントが素晴らしいものになったのだと思います。

なかなかこのライブのスタイルが一般的になることは難しいとは思いますが、この形のライブをまた体験したい、そして演奏者の側として出演したいとすら思いました。

七尾旅人や青葉市子が参加しても面白そうな、新しいライブの形。

3年後のSIAFでまた観れることを期待しています。

*1:大風呂敷プロジェクトがどういうものかについてはこちらをどうぞ。大風呂敷プロジェクト – 札幌国際芸術祭

*2:ルールを知っているのに「あえて知らないフリをする」という「惑わし役」のスタッフがいるというのも、もしかしたらアリかもしれませんね。ライブ自体にもっと謎解きの要素を増やすとかして、謎を解かないとライブが観れないという要素を入れるとか。